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絶版希少本　尺八の研究
著者　西川秀利　（西川理山）出版社　Hon's ペンギン2008年初版273ページ約26.5ｘ19ｘ2cm堅表紙本
※絶版
尺八の研究と称しても尺八あり、一節切あり、天吹あり、体源抄の尺八あり、正倉院の古代尺八あり、横笛あり、箏ありで一向に纏まらないが、箏は例外である。その他、尺八の歴史を知りたくなり、そのルーツ探しに奔走したこともある。尺八とはなんぞや？ 単なる楽器の名称か？ なぜ長さの単位が楽器の名称になるのか？ 一尺八寸にどういう意味があるのか？ 兎角、色々と盛りだくさんに書いたものの集大成である。自分がやって来たことを、何かに書き留めるという作業は、後生の方への一つの指針につながるものと考える。
著者は、専門分野である音響・振動の知識や計測装置を駆使して、尺八本体が振動していることを、多数の運指図、式や表、グラフなども交えて証明した論文を多数収録。
日本のみならず、巻末においては中国における律の基準制度、漢時代・隋宋時代の記述に焦点を当て、周の時代にはすでに使われていた三分損益法を用いて中国の尺と律の変遷を時代考証し、併せて日本への影響を検討したもの、隋の律笛、律名の対比表（ドイツ名、中国律名、日本律名、尺八律名、三絃律名）、中国七声、中国の12律の構成、筒音微音の隋宋の12律音、正倉院尺八寸法、中国5声の12律笛、中国における尺と律の変遷、律管の振動数計算例、中国の尺の変遷、中国の基準律の変遷グラフなどまでも網羅した、尺八奏者、尺八製作者、尺八愛好家、和楽器研究家、日本の音楽史、東洋音楽研究家必携の大変貴重な資料本。著者の長年に渡る研究発表をまとたもので、類書のない最高峰の尺八研究書。
※序文で紹介されている著者のホームページは現在閲覧です。デジタルデータではなく、書籍の現物は年代を超えてどのような環境でも読むことができます。

【序文　より一部紹介】旧海軍さんより尺八を頂戴し、吹き始めたのは丁度中学２年生の時であった。(中略)海軍さんに貰った尺八は１尺６寸管で、節は３個のものであった。いわゆる大正時代の５０銭尺八であったわけである。ちゃんと歌口も入っていた。これで高校時代も吹通したのであるから、まともなものだったのだろう。荒城の月などは良く吹けた。高校３年にもなるとＮＨＫのラジオドラマに笛吹童子が登場した。その笛の音がまた何とも云えずすばらしいもので、後で聞くと福田蘭童の笛だったのである。昭和３０年大学に進学すると邦楽部があり、すぐさま入部して、尺八を吹いた。そして、それだけでは飽きたらず、個人レッスンを受けることになり、博多東中州の藤田皇山師について尺八を学ぶことになる。昭和３４年岡山県玉野市の会社にはいると今度は、会社の健保施設に宗家直門の虫明圭山先生が教えに来られていたので、早速転門した。そして入社３年目の昭和３６年に都山流の准師範試験を受けて、晴れてその一員となった。会社では研究所勤務であったものだから、種々の計測器が備えられていた。尺八の音を分析したのは、時の勢いであったろう。初めは、音色を知るために分析していたのであるが、ついに、その音の振動モードまで計測するようになった。結局、尺八の固有値を計算するところまで、いこうと思うようになった。そのころの話を都山流の楽報に投稿して、しばし、にぎあわせた。昭和４７年に東京転勤となり、５１年頃より、今度は日本音響学会向けに尺八の研究を発表し始めた。音響学会の中に、［音楽音響］部門が設けられたのも、この研究の励みになった。このころの論文がその後の尺八の論文と云うことになる。前者の楽報へ投稿した論文が、どちらかと云えば読み物風で、後者の音響学会へ投稿した論文が、少し理屈っぽい内容になっているかと思う。勿論、重複も有りである。表題の後に追記とあるのは論文を発表した後の補填である。言い足りなかったことを追加した。
【目次　より】音響学会論文目次題名　年度　内容気柱振動の研究オリフィス特性尺八の音色の研究１音律と歌口流速の関係尺八の音色の研究２音色と共鳴周波数尺八の音色の研究３音色と管形状尺八の音色の研究４音色と管長尺八の音色の研究５音色と管壁の振動特性天吹一節切の音響特性尺八の音色と管の共鳴特性尺八の管端補正について分岐、管尻の管端補正尺八の固有値計算歌口の管端補正天吹及び一節切の類似性と尺八の祖型尺八の構造変化と音階に対する考察横笛における懐と尾管、飾孔の効果について一節切より見た日本の律、音階の変遷江戸時代の調律器一竹中国における律の変遷（楽報論文目次）音律と歌口流速の関係音律と歌口流速音量と歌口流速の関係音量と歌口流速尺八の音色の分析１ロ、レの歌口流速による音色の変化尺八の音色の分析２ヒ（乙、甲）同律異名音の音色比較尺八の音色の分析３口乙ツ乙騒音スペクトル尺八の音色の分析４摩擦音、温度と音律尺八の音色の分析５８寸Ａ、６寸、８寸Ｂの音色尺八の音色の分析６こほろぎ、鈴虫、歌口開口面積比尺八の音色の分析７音色と倍音偏差率尺八の音　色の分析８計測器の紹介、口甲ヒ乙ヒ甲…比較尺八の音色の分析９箏柱の位置、管壁の振動スペクトル尺八の音色の分析１０歌口振動波形、気流の速度と変動スペクトル尺八の音色の分析１１共鳴振動モードロ乙ッ乙ツ乙レ乙尺八の音色の分析１２共鳴振動モードチ乙人乙ウ乙…尺八の音色の分析１３共鳴振動モードロヒヒリタ尺八の音色の分析１４マイクの位置と音色尺八の音色の分析１５テーパ管、オリフィス付の音色尺八の音色の分析１６尺八の計算モデル尺八の音色の分析１７音量と音色（弱音、中音、強音）尺八の音色の分析１８角八、尺八、二尺管、天吹の音色尺八の音色の分析１９メリ、カリ、半音の音色尺八の音色の分析２０２尺１寸管の音色尺八の音色の分析２１角八の開発箏の音色の分析１箏の音色の分析２手孔の改良について新しく考案した箏立奏台小林中邦楽鑑賞会千葉市尺八教室杭州国際尺八シンポジウムに参加して虚無僧尺八の特徴竹内振動モードと倍音の調律レの倍音の調律律の基準としての尺八尺八の管内温度実験値

【著者について】昭和10年8月20日生まれ。早岐小、早岐中、佐世保南校卒。昭和24年　早岐中2年佐世保の海軍さんに尺八を頂き吹き始る。舞浮立[岡崎]に出演(早岐神社にて)。29年　九州大学(航空)進学。九大邦楽部、同剣道部入部。都山流尺八大師範藤田皇山師(博多在)に入門。34年　三井造船玉野研究所入社。三井造船邦楽部入部。都山流尺八竹琳軒大師範流祖直門虫明圭山師に転門。36年　都山流尺八准師範。都山流尺八楽会岡山県支部入籍。邦楽合奏グループ[圭恵クラブ]入会。西川秀利(理山)43年　都山流尺八師範。44年　尺八の音色の音響学的研究開始。都山流楽報に発表開始。47年　三井造船東京本社転勤。都山流尺八楽会千葉県支部へ転籍。48年　都山流尺八大師範。49年　理山一門の会[一管会]創設。52年　日本音響楽会に[尺八の音色の研究]発表開始。56年　開軒20周年演奏会(千葉市高洲コミセン)。61年　開軒25周年演奏会(千葉市検見川コミセン)虫明先生ご招聘。邦楽合奏グループ[真砂会]創設。平成4年都山流尺八竹琳軒大師範。竹琳軒冠称開軒30周年演奏会(千葉市文化会館ホール)。4年～7年　都山流尺八楽会千葉県支部長。6年　日中音楽音響シンポ(北京大)で[日本の横笛の研究]を発表。7年　定年退職佐世保に帰郷。佐世保三曲協会入会。都山流尺八楽会長崎県支部に転籍。8年　真砂会第1回演奏会開催。9年　横笛の開発。浮立曲の楽譜化。肥前の浮立の採譜廻り開始。10年　佐世保史談会[談林39号]に[現代箏曲の発祥と肥前]発表。11年　杭州国際尺八シンポジュウム参加、[虚無僧尺八の特徴]発表。12年　ペアーレ佐世保(年金保険センター)尺八、横笛教室開始。13年　第23回松浦党研究会連合会[肥前の浮立その音楽をたずねて]発表。14年~17年　都山流尺八楽会第20、21期評議員。14年　佐世保史談会[談林43号]に[肥前の浮立その音楽と特質]発表。16年　佐世保史談会[談林45号]に尺八の歴史研究[中国における尺と律の関わり]発表。18年　開軒45周年演奏会(アルカス佐世保中ホール)
現在、地元の浮立の楽譜による笛の指導等で浮立の再興支援、小中学校の邦楽鑑賞会、体験学習指導。他尺八、横笛門人育成。（本書刊行当時の情報です）

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